サイトを始めたときから、クルーゼ隊の出陣前の物語を書きたいと思っていました。 サイトを始めて二年。やっと形になり、完結させることができました。 アスランとパトリックさんのお話「この世の美しいもの、すべて」、イザークとディアッカのお話「群青を焼き尽くせ」はお題サイトRachael様からお借りしました。本当に素晴らしいお題を提供してくだり、ありがとうございました。 では、「そして始まる物語」が短編集の形式をとっているので、それぞれ別々に後書きを書かせて頂きます。 「この世の美しいもの、すべて」 血のバレンタイン。すべてが始まったあの日です。そして、ザラ家が崩れ始めた日。 パトリックさんは、厳格そのものだった人だと思います。そして、ただ厳格なだけではなく、それ以上に自分に厳しい人だったのでしょう。「血のバレンタイン」を知った直後、彼は誰かを責める前に、自分を一番憎んだと思います。後に憎しみの対象が「ナチュラル全般」というとてつもないものに移ってしまったとしても、です。 ただ・・・パトリックさんが自分の仕事に「妻が死んだ」という私情を挿むことは有り得ないと思うので、ずっと無表情でいたのではないでしょうか。国民への報告時、軍隊(=ザフト)への通達時、最高評議会が開かれている時も、ずっと厳格で、誰よりも冷静で。 じゃあ、彼は本編で描かれていたような、冷酷残忍な「悪者」か? どこにいても「泣かない人」なのか? そう考えたとき、やはりたった一人の肉親である息子=アスランの前では泣いたのでは、逆に泣けるとすればアスランの前でだけだろうな、と必然的に答えが出ました。 別に見せつけるわけではなく、自然に出たのでしょう。涙というのはそういうものだと思うのです。 そして、個人的に気になっていたのは、「アスランがザフトに志願した理由」。 一般的にはレノアさんが死んだためとされていますが、どーもそれだけじゃ納得できん!! だって、それだけだと単純に考えて、ナチュラルに復讐するためにザフトに志願したのと方向性は同じってことになります。それはちょっと違うと思って。 イザークはなんとなくわかります。エザリアさんが急進派で、後々は息子を国防委員長のポストに付かせる気だったのでしょう。それならザフトに入れるというのは必然的です。 でも、じゃあアスランって何で軍に入る必要があったの?武力じゃなく、政治家として和平的に話し合うほうが彼にはぴったりのはず。第一、パトリックさんがこれ以上身内の人間を、積極的に軍に入隊させるなんてことはないと思いますし。 それをわざわざ軍人として、前線に立つことを選んだ。なして? それはやはり、父の存在が大きかったんでしょう。 ナチュラルに復讐をするということより、日に日に激務に身を浸からせてゆく父を早く助けたい、助けられる存在でありたいという思いのほうが強かったのでは、と思います。 アスランとパトリックさん。 この二人の間には、実は表立って見えない強い親子の絆があったのではないかな、と思っています。 だからこそ、意見が食い違ったときにより悲しみが膨張して、抑え切れなくなったのだと。 「忘却の彼方で、さようなら」 えー・・・これについては・・・もう頭を下げるしか・・・!! もう始めから終わりまで、完全に捏造もいいとこです。ラスティの過去まで捏造しまくり。 ブログ時代から連載している長編「アスランとラスティ」で捏造ラスティの詳細を明かしていく予定なので、ここではあまり言えないのですが・・・とりあえず、ラスティのお母さんは亡くなっています。 その、お墓参り。 死人に口無し、とはよく言ったもので、人は死ぬと美化されがちです。そして、憎しみや愛や、その人に対して生前抱いていた感情が、ガラス越しに見ているみたいに、ぼんやりとしてしまいます。 そうして忘れる。死んだときは絶望で涙が止まらなくて、世界を憎んだりしていたのに、地中に埋まればもう何も感じず、ぼんやりとただたたずむだけ。 それを悲しいと思わず、受け止めて生きていこうよ、というお話でした。 「群青を焼き尽くせ」 イザークとディアッカ。先ほど「この世の美しいもの、すべて」の後書きでイザークの軍に志願した理由を述べましたが、ディアッカがまた・・・わからん。(笑) ディアッカが「国を救おう!」とか言って自分の命をさらすようなタイプではないのは明らかですし、ディアッカもアスランと同じく、政治家としての道のほうが似合ってるだろうに。 自分の中では、イザークが志願したから、というのが今のところベストな理由です。この二人は幼いころから知り合いだったという捏造設定の下、そうなりました。将来何もすること決まってなくて、このままおちおちレールにそって政治家になるのもなん癪だし、コイツが軍にいくならそれも面白そうだ、くらいのノリで。 ディアッカは、優しい人です。そして普通の人です。だからイザークの側にいることができるんでしょう。 感情に任せて熱くなるイザークを諌めるのがディアッカなら、ディアッカがどうしようもなく悩むとき、彼を叱咤激励するのはイザークであって欲しい。 そう思います。 「GOD ONLY KNOWS」 題名はご存知、ジャズの名曲から。ニコルがピアノでジャズを弾いている姿が浮かんで、こうなりました。 ニコルが軍に志願した理由は、アスランと話してましたが・・・これもまた、結構曖昧で。 「できること」って、君達エリートなんだから、できることは戦場に出ることじゃなくて政治家として和平の道を模索することでしょ?と思うのですが・・・うーん。 個人的には、ニコルもお父さんの関係で志願したのでは、と思っています。 父を助けたい。その思いは、アスランと同じか近しいものであったはずです。もちろん、意志の強さも。 このお話の最後のシーン、クルーゼ隊五人がピアノの周りでウィスキーを、というくだりは、わたしの理想の幻影です。 おじいちゃんたちが、のーんびり、あの頃はあーだった、こうだった、と言って回顧話をするとき、その目は世界で一番優しくなります。 シワの間から覗く生き生きとした目は、国境を越えてどこの国でも同じ。 そのときおじいちゃん達は、青臭い青年に戻っているんでしょう。 「そして始まる、物語」 そして最後に、再びラスティ。 SEEDが始まるときは、ラスティの死であり、命の終焉でもあり。 何かが始まるとき、必ず何かが終わる。そうしてまた、始まっていく。 ラスティは普通の人ですが、弱冠ディアッカと異なっているのは、彼が「自分を普通に見せている」こと。ただ、彼の場合はそれがあふれ出してしまって、自然誰かに気づかれる形になるのですが・・・。 それはまた、別の機会に書きたいと思っています。 仲間の死をもって開始する物語。それはなんと綺麗で、なんと残酷なことか。 いかがでしょうか。おもっくそフィルターかかった捏造どっこいしょな作品達、そして長すぎる後書きでしたが、お読みいただいたみなさま、本当にありがとうございました。 みなさまに、深い愛と感謝をこめて。
ひなより |