It's a faultness and only theis.
I never forget my "only" name.
And then, my hope will come ture and never die. Live forever.






ある日、俺は気づいたら施設にいた。
それ以前の記憶はない。
たった一人で、狭い箱のような部屋にいた。
・・・何故自分がここにいるのか。
ここは一体どこなのか。
全てが解らなかった。
しかし・・自分の名前だけは覚えていた。


”スティング。”

”スティング・オークレーだ。大丈夫だ。覚えている。”


何度もおかしくなりそうだった。
何度も自分が消えていくような感情に襲われた。
暗い部屋で、自分以外の人間なんて存在していないような孤独と必死に戦っていた。
そんな時は、必死に自分の名前を思い出した。


”スティング。”

”スティングだ。大丈夫。俺は覚えてる。”


他の事は一切記憶になくても、名前が、自分がここに在ることを示してくれる。


”大丈夫、大丈夫。スティング。”


自分の名前だけが支えだった。





その後しばらくして・・・部屋が開いた。
そして誰か・・・顔も思い出せない誰かが・・、俺の前に現れた。
嬉しかった。やっぱり、自分以外にも人はいる。嬉しい。
そう思った。
そう言おうとして口を開こうとしたら、その誰かが言った。

「君は選ばれた者だ」

そうか。だからここにいるんだ。

「君には訓練を受けてもらう」

そうか。訓練か。受けなきゃ。受けないと。でも。

「外に、出られる?」

外に出たい。記憶、探したい。
名前以外の、俺の記憶。

「ああ・・。もちろんさ。訓練を受けて、優秀だと判断されたら・・・外に出られるよ」

「出れるんだね!」

そうか。やった。外に出れる。
外に出れたら。
記憶が、・・もっと増えるかな。
自分の名前以外の、記憶。

「でも、そのためには、訓練をうけて、選ばれなきゃいけないよ」


記憶、見つけに行きたい。 記憶、もっと増やしたい。


「受けるよ、訓練」



外に出よう。 探しに、行こう。



「じゃあ、早速訓練を受けてもらおうか」





そのためなら何だってするよ。







[初出 2006.10.24]