灰色の天井、壁、ソファに内装・・・全てが灰色か黒。
一瞬、モノクロ映画を見ているような錯覚を覚えた。
男はのろのろと天井の先に視線を向ける。まるでその延長線上にあるかのような曇り空が、窓の先に広がっている。真昼というのに、窓から漏れる光はくぐもって暗かった。

男はその、退廃的な疲労がたちこめる部屋にいた。
部屋に家具と呼べるものはない。ただひとつ、汚れや染みが目立つ灰色のソファがある。
そのソファの肘掛の部分に頭、反対側に足を乗せ、まるでベッドに寝転がるように男は天井を見上げていた。白痴の目。腐った魚の目のようで、それは老人のようでもあり、死んだ人間のような瞳でもあった。

どれだけそうしていただろう。

男は、ゆっくりと胸元を探った。そして一枚の古ぼけた写真を取り出す。
男は天井を見上げていた瞼の上にそれを乗せた。
そしてまた、不気味なほどに時間が経ったときだった。男は人差し指と中指で写真を挟むと、ひゅっ、と天井に向かって投げた。おもむろに胸元を探る。
パァン。
乾いた音がして、一秒。忘れたように写真がひらひらと滑り落ちた。
男は緩慢な動作で体を起こし、ゆっくりとソファから立ち上がる。
落ちた写真には見向きもせず、男は二度と戻ることのない部屋を後にした。

写真。その写真だけが、灰色の部屋で異彩を放つ。
そこだけ切り取ったかのように色鮮やか。卒業写真のようなそれは、ただ一人の顔だけがぽっかりと打ち抜かれている。





「写真。」
「そう。あなた、写真を忘れてたわ。」
そう言って、少女は写真を向かいに座っている男に差し出す。
男はさほど興味がないように一瞥すると、すぐに写真を戻してきた。
「ちょっと。自分のでしょ。」
「ああ。もういらないんだ。」
ぎこちない笑みを浮かべた男は、そう言ってコーヒーカップに口をつける。
「ところでイザベル。何のために俺の後をつけた?」
「宿代は払ったはずだろ。」と続けた男は、冷めた目つきで少女を見つめた。
空気が変わった、と少女は思う。
「まさか、このためだけに俺の後を追ってきたってわけじゃないよな?」
「もちろん、このためだけじゃない。」
イザベルは写真をひらひらとしてみせる。
「・・・・あなた、普通の旅人じゃないわね?」
ぐっと身を寄せて、静かに押し殺した声でイザベルは言う。
「君の専攻は文学だったっけ?」
「・・・・そうよ。」
「そっか。どんな本読んでるんだ・・・・あ、これか。」
「ちょと、はぐらかさないで。」
「はぐらかしてないって。現に、」
そう言ってライナスは、イザベルの本を取り上げて、ある一説を指でトントン、と叩く。
「知らぬが仏。」
音読したイザベルは、「・・・って、結局はぐらかしているじゃない。」
「スパイでしょ?」
「何の?」
「・・・・ザフト!あるいは、何か別の諜報機関、」
「おいおい、冗談でも言っていい冗談と悪い冗談があるだろう。」
「図星?」
「大声出すなって。誰かが誤解でもしたら、通報されていっしょに牢屋にぶち込まれるぜ。」
「そうよね。これは冗談。っていうか、聞いてる人なんていないわよ。」
そう言って、イザベルは背後を振り返って肩をすくめる。
確かに、このわびしいカフェには、彼女たち二人しかいない。
あとは奥のカウンター席に、うつらうつらと船をこいでいる老婆一人だけがいる。
その事実を確かめたように、イザベルは向き直ってため息をつく。
「ひどいものよね。戦争が始まってから、この町は文字通り“終わってしまった”わ。」
「・・・・。」
「このカフェだけじゃない。他の店だって見たでしょう?」
「ああ。」
「昔から、太陽が顔を出すのは一年の間で何日かだけ。いつも灰色の雲が覆ってるような街だったけれど、プラントとの戦争が始まってからは住んでいる人まで灰色になってしまったよう。」
「プラントが憎いか?」
唐突に、ライナスは口を開いた。一瞬目を丸くしたイザベルは、だがゆるゆると首を横に振った。
「そういう問題じゃない思う。」
「・・・・なぜ。」
「上手くはいえないけれど・・・・それは、どうしたって仕方ないことなのよ。私達ナチュラルはどうしたってコーディネーターに能力的に劣っているの。そういうものなのに、だけどナチュラルの“上の人”たち・・・・例えばこの国の首相や、連合軍のトップの人たちには理解できないの。いいえ、ただ単に理由が欲しいだけなのかもしれない。自分達より少しでも秀でている子は鼻につく、気に入らないといって難癖をつけていじめる子どもがいるでしょう?あれと一緒。」
「・・・・。」
「理由なんてどうでもいい。ただ、いじめる理由が欲しいだけなのよ。」
そこまで言って、イザベルはカップの中のミルクティーをすすった。
「でも理由なんて関係ない。理由があろうがなかろうが、ダメなのものはダメなのよ。」
独り言のように言ったイザベルは、「なんでかな。誰だって、最初はわかっているはずなのにね。」と悲しい顔で締めくくった。
「イザベル。」
しばらく黙っていた彼が唐突に口を開く。
「俺がこの街に来た本当の目的。教えてやろうか。」
顔は動かさず、暗い視線だけ動かした男に少しの恐怖を覚える。「・・・・どういうこと。」
「お前がさっき言った、この国の首相。」
「ええ。」
「その首相を、こいつが追っている。」
そう言って、ライナスはテーブルの上にある写真に目線を落とす。その先には、頭を打ちぬかれた少年の顔。
「・・・・この子が。」
顔が無いのではっきりとしたことはいえないが、自分とほとんど変わらない年齢ごろに見えた。
「こいつはな、ザフトの男だ。これは男の仕官学校時代の写真。」
「じゃあつまり、この写真に写っているのってみんな・・・・・ザフトの軍人さんたち?」
信じられない、といった顔でイザベルは写真を見つめる。
確かに顔を打ちぬかれた少年を含め、写真に写る全員が見たこともない制服のようなものを着ていた。
一番最初に目に飛び込んできたのは、頭に軍帽を乗せてはしゃぐ優しげな少年だ。少しすましている銀髪の少年と、肌が黒い少年もいる。そして、つなぎのような制服を着ている少年も。彼は所属が違うのだろうか?
・・・・顔が打ちぬかれた少年の横で穏やかな笑顔を称える藍色の髪の少年の碧眼が、なぜだか印象に残った。
「こいつはな、公には死んだことになってんだ。」
ライナスは空いた穴の部分を・・・・つまり、少年の頭があった部分をコツコツ、と人差し指で叩く。
「だけど実は死んでいなかった。ザフトの飼い犬となって、忠実に任務をこなしている・・・・今もな。」
「どうして?」
「さあな。」と続けた男は、心底うっとうしそうに言う。
「だけど最低最悪の人間ってことは確かだ。仲間を騙して裏工作をして、おまけに人を殺しまくってるんだから。」
「・・・・・。」
「で、こいつは、明日この街を訪れるこの国の首相の暗殺を計画している。」
「・・・・まさか!」
「で、俺はこのザフトの最低最悪のスパイ野郎を殺す。」
「・・・・・。」
「そういうわけです。俺がこの街に来たのも、連合の上層部に勅命を受けたから。俺はれっきとした、」そう言って下からイザベルを見上げ、にやりと笑った。

「連合直属の諜報機関の、特種工作員つうわけ。」

なんともない様子でそう言う男は、椅子の背中に体を預けて挑むような視線を投げてくる。
今までの空気が止まった。
納得がいく。そう思った。
ぼろぼろの身なりで古ぼけたトランクを持って訪れ、イザベルの母の経営する安いホテルに一人滞在。宿泊代よりも十倍上乗せした金を握らせ、ここに自分がいることは口外するなと言う。目の前の男が他の宿泊客が出入りする時間に外出した例はなく、なぜか夕方や昼過ぎ、人通りの少ない時間に好んで外出していた。というのも、不気味な事に彼がいつ外出したかがはっきりしないのだ。部屋をノックすると返事はなく、その後何時間後かに夕食だと告げると彼は既に帰ってきていた。その間、彼を街で見かけたためしは一度もなかった。
それらが示すものは、すなわち・・・・連合の特種工作員、ではないのか?
「・・・・なーんて、言ってほしいのか?」
「え・・・?」
「やーい。ひっかかった、ひっかかった。」
そう言って笑う男の顔に、初めて色がさしたように感じた。
騙された事実より、彼の笑顔を見ることが出来たという事実のほうが嬉しくてイザベルはごまかすように早口になる。
「もうっ!冗談が過ぎるのは、あなたのほうでしょう!」
「だってさ。君があまりにも乗ってくるもんだから。」
そう言って、さもおかしそうに腹を抱えて笑う。しまいには涙まで流している。
「笑い事じゃないんだからね!本気で心配したじゃない!あなたが連合のトップから派遣された工作員だったら、私、失礼な口聞いちゃって、どうしようかと思って。」
「お前、悪徳商法にひっかかるタチだよ。以後気をつけなさい。」
穏やかに見せた笑顔はなぜか、イザベルの心を締め付けた。
「余計なお世話ですっ。」
「んじゃ、俺はもう発つんで。」
だがあっけなく男は立ち上がった。そして、床に置いていた古ぼけたトランクを抱えた。
「・・・・・もう行ってしまうの?」
「残念ながら、俺は君の思うような工作員ではなくただの旅人だからね。もう行くよ。」
「そう。・・・・達者でね。」
「ああ。会えてよかった、イザベル。」
「・・・・ライナス、あのっ。」
「最後に一つ。」
そう言って、一歩踏み出した後に振り返った男は、思い出したように言う。
「明日の午後一時。丘の墓地に行ってくれないか?」
「・・・・どうして?」
「そこで見るものが、君の人生を変える。けれど、どう変えるかまでは俺にはわからない。だから自分自身で確かめてほしい。」
「確かめる?」
後は一言も言わずに男は、ごつごつとした小道を下っていった。
イザベルは、ぎゅっと両手を握り締めていた。
言えなかった最後の一言をかみ締めるように。





翌日、イザベルは丘の墓地へと赴いた。男が言ったとおり午後一時に。
何が見えるのか。
彼女は身を乗り出し、この街を一望した。
下の広場で、到着した首相を街のみんなが総出で迎えていた。
舞い散る紙ふぶきが、風に乗ってイザベルの見下ろす丘まで登ってくる。
黒塗りの高級車にのって颯爽と現れ、観衆に向かって手を振る首相。にこやかな笑顔。そういえばこんな顔だったな、と思うと同時に、男の皴一つない紺色のスーツや肌色のぼってりとした頬が目に入り、顔を顰める。一瞬、この男は本当に戦争をしている国の首相なのだろうか、とイザベルは疑問を浮かべた。
この男にとっては、全てが画面上の出来事、遠いところで起こった出来事にすぎないのだ。だから命令が下せる。無数の人間の命を奪えという命令を、ボタン一つで、掛け声ひとつで実行できる。それが高そうなスーツを着て、日々食べるものの心配などする必要がないこの男。そこまで考えると、なぜ、と思う気力さえ失せた。
イザベルがそう思った時、首相の後ろに何が飛んだ。
一、二秒たって、首相はいきなり歩みを止め、その場にしゃがみ込む。
イザベルは、最初何が起こったのかわからなかった。
気分でも悪くなったのだろうか。そうだとしたら自分の念が通じたのか、などと他愛もない考えが頭を掠めたが、一瞬静寂に包まれた広場に甲高い悲鳴がこだました瞬間、そんな考えは飛散し、背筋をぞくりとしたものが這った。「飛んだ何か」の正体は、首相のうずくまった辺りにみるみる広がっていた赤い水溜りが物語っている。
「・・・・・うそ。」
反射的にイザベルは自分の体を両手で抱きしめた。そして後ろを振り返る。誰もいない。もう一度、眼下の広場に目をやる。その時だった。
広場の中央、誰もが慌ててその場から立ち去ろうとしているのに、一人だけ微動だにしない男がいた。よく見れば、先日別れを告げた旅人ではないか。
「ライナス・・・・っ!!」
すると、男は丘の上・・・・つまり、イザベルのほうを見上げて何か言った。

「・・・・・・」。

悲しそうな、でも同時に、今にも消えてしまいそうなその笑顔で。
慌てて、イザベルは結局彼が置いていった写真を見る。そして、指ほどの大きさの彼と見比べる。
イザベルにはわかってしまった。確信してしまった。
頭を打ちぬかれた写真の少年は、ライナスその人なのだということが。
なぜなら、銃を携える男の色鮮やかなオレンジ色の髪は、銃弾でほぼ顔全体を打ち抜かれている写真の少年の、わずかに見える髪色と全く同じだったのだ。

イザベルが呆然とする中、男は正面を向いた。
突風が駆けたのち、ライナスの姿はどこにもなかった。




(こいつはな、公には死んだことになってんだ。)

そう言って、白痴の目、老人の目でテーブルの上の鮮やかな卒業写真を見ていた。
そこに懐かしさなんて、かけらも無いように見えた。

(だけど、実は死んでいなかった。ザフトの諜報機関の飼い犬となって、忠実に任務をこなしている・・・・今もな。)

そして侮蔑をにじませた暗い目で言った。

(最低最悪の人間ってことは確かだ。仲間を騙して裏工作をして、おまけに人を殺しまくってるんだから。)

思い出す。
彼の、ぼろぼろの身なりでも隠しきれない品のよさ。
暗い目とは不似合いな、万人をひきつける鮮やかな笑顔。
・・・・・それらが示すことは、すなわち。


(こいつは、明日この街を訪れるこの国の首相の暗殺を計画している。)


「あれ、あなたがやったの・・・・?」


(で、俺はこのザフトの最低最悪のスパイ野郎を殺す。)


「自分も死ぬ、つもりだったの・・・・?」


呆然と、一人イザベルは呟いた。
イザベルは初めて男を見かけたときのことを思い出す。
自分の母の経営する安いホテルに訪れた彼は、ぼろきれのような服装で、古ぼけた大きなトランクを持っていた。
廃人のようだった。
老人のような目、白痴のような目、それは生きている人間の目ではなかった。
だが、その目はイザベルの心を捕らえて離さなかった。
なぜならその目は、青い青い色をしていた。

そう、吸い込まれそうな空の色。そのまま空と同化しそうな色。
珍しく晴れた、今日のこの街の空のような、突き抜ける青色をしていたのだ。





「へぇ。そんなことがあったなんてねぇ。」
そう言って老婆はのんびりと頷いた。老婆、というにはしかし、小奇麗で身なりもきちんとしている。
「そう。ミス・セベジック、覚えていない?ここに私と彼が座っていて。」
「二年前のことなんて、覚えちゃいませんよ。ましてや一日に何人も出入りするんですよ。」
「何人って・・・・四、五人でしょ。大げさよ。」
「まぁひどいわね。でもね、イザベル。」
「なぁに?」
「その男、・・・あー、なんて名前だったかしら?」
「ライナスって、言ってたけれど。まあ、偽名だと思う。」
「その男、あなたに借りができたわね。」
「え?」
「つまり、彼は首相を殺して自分も死のうと思ってたんでしょう。そんなときに、あなたがあんなことを言うから。忘れてた何かに気づかされたんじゃないかしら。」
人間は忘れるものだからね。と呟いた老婆は、どこか悲しげな表情をしていた。
呆然としていたイザベルは、だがゆっくりと微笑みを称えた。彼女はもう二年前の少女ではない。
「もう。ミス・セベジックは嘘つきね。はっきり覚えてるんじゃない。」
「そうだったかしら?私はもう年だから。」
「ふふふ。」
ゆっくりと、イザベルは立ち上がった。
「今はそのライナスってやつより、ニックだろう。ほら、お迎えにきてるようだよ。」
「ええ。」

後ろを見やると、ガラスのドア越しに青年の姿があった。彼女のボーイフレンドだ。
イザベルに気づくと、その青年は軽く手を上げた。うん、と頷いてイザベルは微笑む。

「ありがとうミス・セベジック。やっとわかったの。」

あのとき笑って、悲しそうに笑って、でもライナス、あなたが言ってくれた意味が。
首をかしげるミス・セベジックを後にして、カランカランとドアベルの音を立てて店を出る。イザベルは青年と腕を組んで、ごつごつした小道をゆっくりと登りはじめた。

風に乗せて、イザベルは歌う。
その時イザベルが見上げた空は、なぜか泣けるほどに青かった。









「そんなことがあったのか」


テーブルにだらしなく足を上げ、ぷかりと煙を吐き出す。 横目で見るアスランは、ラスティの頭だけ打ち抜かれた卒業写真をまじまじと見ている。ラスティが見上げる天井は相変わらず灰色だが、あの時のように人が重ねた悲しみも喜びの跡もないような、無機質なものだった。

「まあね。俺けっこうカッコいいだろ」
「かっこよくはないぞ」
「アスランひどいこというー」

べちんと頭をはたかれ、勢いで前につんのめりバランスを崩す。なんとか椅子からは落ちなかったが、煙草の灰がぼろぼろと落ちたので苛立ち紛れに灰皿に押しつぶす。 もうすぐ決戦が始まる。プラントとザフトを背負い、一気に世界をだまし討ちにする戦いに、自分はストライクフリーダムという最高水準のMSに乗って宇宙を駆ける。

「かっこよくはない」

しつこくそれを繰り返す腐れ縁の堅物親友にむっとして、ラスティは背後から突如足掛けを仕掛けるも、重力にまかせするりと交わされ、逆に壁にたたきつけられた。まあそれも想定内だが。

「くそアスラン」
「くそで結構。でもな、ラスティ」

真剣味を突如おびたグリーンの瞳に、こちらも少し目を細めることで真剣なことを伝えた。

「今は形とはいえ俺が上司だ。お前の命は俺が持ってる。だから俺の部下のラスティ・マッケンジーを、勝手に自分で殺すなよ」

ぽかんと目を見開く。すると、俺の腐れ縁の親友かつ堅物上司はにやりと嫌な笑みを浮かべてきた。 ラスティは「俺が新入りなら、」とため息をついて頭をがしがしとかきながら言う。

「お前みたいな上司、ぜってぇ嫌だ」

するとやはりアスランは、肩越しに振り返っていった。「奇遇だな。俺も嫌だ。ということで」言いつつ、白い軍服の胸元からふわりと紙切れを投げてきた。無重力に乗って、それはすべらかにラスティの胸元へ届く。

「これと交換だ」

そこには、アスランの顔だけぐちゃぐちゃに塗りつぶしてある卒業写真だった。「お前、これ」
するとアスランは整った眉を困ったように下げて、

「似たもの同士の上司部下なんて、まったくごめんだよ」

といった。「だからこれは預かっておく。お前もそれ、あずかっておいてくれよ」
ラスティの写真を胸元へしまいこんだアスランは、「いくぞ」と声をかけてきた。それでも、久しぶりにみるわらった自分の顔に涙がにじんだ。あのころの俺はいったい、何を思っていたんだろうか。今となってはもう遠い昔だ。


「必ず成功させるぞ。オペレーションラグナロク、開始だ」









dear Isobel, 今度写真、取りに行っていいか?




"Dear Isobel"【2011/3/3】