prologue


「いそげ!!さっさと運べ!!」
「はい!!」

緊急の手術用アラートが鳴り響く。そういえばこのアラートがこの戦艦・・・ミネルバで鳴ったのは、初めてだった、と執刀医は冷静に考えた。

ミネルバの臨時手術室、それはザフトの、いやコーディネーターの医療技術の結晶といえる。
戦上では負傷者は付きものだ。特に、前線を張るパイロット達。彼らは死と直面している。
ナチュラルに比べ人口数が劣るコーディネーターにとって、専門知識を身につけた精鋭であるパイロットを失うことは致命的だ。
よって、医療技術の発達、及び戦場での医療技術の進歩、実戦への導入が戦後ザフトに課された最重要課題の中の一つだった。
そして導入されシステムが、戦艦における臨時手術室の設置。
ナスカ級以上の戦艦及び空母には、戦場における医療の専門知識を身につけ、難関な試験を突破し、実戦経験を積んだ執刀医が最低1人配置。看護士、第一助手、第二助手は最低2人ずつ配置。
その案件が最高評議会の判断により導入されたのは訳もないことだといえる。
しかし、その専門医達を戦場に送り込むこと、そして専門知識を身につけた医士の不足が挙げられ、一時は反案だという意見が議員達のなかにあった。
だが、なんにせよパイロットを失うことはザフトにとって、ひいてはコーディネーターにとって致命的。案件は導入された。
その最初の実戦として導入された戦艦が・・ミネルバというわけだ。


「患者の状態は!?」
「1人は意識不明ですが、右腕を骨折しているだけです。しかし、・・・・・」
「なんだ!!」
「もう1人は意識不明の重体、全身骨折、そして左腕を負傷しています!」

「抱えろ!1,2,3っ」
「「はっ!!」」

専門医達、そして執刀医が手術室に入る。
戦場での経験も積んでいる、そのベテランの執刀医は今運ばれてきた、重体の負傷者の様態をみて瞬時に悟った。
これは・・・・やばい。最悪の場合は・・・・。

そう、この負傷者は全身火傷、そして体の至る所が曲がるハズのない方向へ曲がっており・・・全身骨折。その上意識不明。
特にひどいのは左腕。いや左腕など気にせずとも、・・・・命が危ない。

「心肺、低下中です!!」
「先生!も、もう保ちません!!」
「保たせろ!!!!なんとしても保たせるんだ!!」
「「「「はい!!!」」」」

執刀医、いや此処にいる医師たち全員が、この時瞬時に感じた想い。
絶対に死なせるわけにはいかない。
なぜなら、このパイロットは・・・・・ここで死ぬわけがない。
彼は死なせるわけにいかないのだ。絶対に。
先の大戦の英雄といわれ、世界を救ったといわれる男・・・・アスラン・ザラは。



時は・・・・ユニウスセブン落下テロ事件から、数ヶ月。
オーブが地球連合と同盟を結んだ・・・・少し後。
そして世界が、先の大戦の英雄たちの介入によって泥沼の戦場と化すまで・・あと数ヶ月。





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