03.


「で、俺を呼び出したのか!?」
「おっしゃるとおりです。」

直後、大きな罵声が響いたのは理解に固くないだろう。
アスランと別れた夜、ラスティは仕方なしに(なんて言うと殺されるので心の中だけで呟くけど)イザークに声をかけたというわけだ。イザークもディアッカも、ラスティと同期。だが、イザークは既に上層部に引き抜かれており、ラスティやディアッカとは別の部署で働いている。
ちなみに、このイザークはディアッカとコンビを組んでいた。その際、これ以上のコンビはいない、と周囲の人間に言わしめるまでに優秀な検挙率を誇っている。彼らがコンビを組んでいた期間内の検挙率は、未だに合衆国全ての警察署で破られたことはないという。

「まーまー落ち着けって、イザーク。」
「落ち着いていられるか!俺は暇じゃないんだ、帰る!」
「おい、ちょっと待てって!」

明かりを落とした照明、安っぽい音楽が鳴る中で、ラスティはカウンターから立ち去ろうとするイザークの肩に手を掛けた。顔を近づけ、わざとらしく声のボリュームを落とす。

「実は、ちょっと聞きたいことがあってさ。」

頼む。苦笑まじりにそう告げ、ちらりとイザークを見た。すると、怪訝そうに眉をひそめた後、ドスンと腰を下ろした。

「で、何だ?」

腕を組んで、明らかに不機嫌そうな視線をこちらに向けてきた。
その姿を見て、ラスティはなるほどね、と一人で勝手に納得した。男の自分から見ても、腕を組んで考え事をする姿は様になっている。これで、所かまわず叫ぶ癖を直せば、っつうか性格全般を直せばおたくは完璧なんですけどね。

「・・・・なんだ。人の顔をじろじろ見て。」
「や、なんでもありません。」

慌てて首を振り、とにかく用件を伝えるために口を開いた。

「俺は、一ヶ月前から新人とコンビ組まされているんだ。名前は、」
「知っている。喋るな。」その名前を聞くだけでイライラする。そう続けたイザークはぎろりと睨んだ。一方のラスティはその視線を綺麗にスルーし、「で、そいつがさ。」と続ける。
「どうも夜な夜な出歩いて、何かしてるっぽいんだよ。」
「・・・・・で?」
「俺としてはさ、そいつは悪くないヤツだと思ってんだ。気がきくし、頭の回転が早い。」
「・・・・・。」
「でも、なんか掴み辛いやつでさ。」
「・・・・。」
「でもまぁ、コンビを組むなら、それなりの情報を知っておきたいんだよ。・・・ってことでイザーク。」
「つまり、アスランについて知ってることを話せということだろうが!」
「ビンゴ!またまたおっしゃるとおりです。」

帰る!と吐き捨てるなり立ち上がるイザークを、ラスティは慌てて「いや、これマジで真剣なんだって!」とイザークのネクタイを掴む。ぐえ、と声を上げたイザークは、「離せっこのバカ!」とラスティの頭を押さえにかかる。
結局それがはじまりとなり、数分間に渡る攻防戦が開始された。
二十歳過ぎたよね?俺達。と冷静に考えている暇などなく、両者は本気で取っ組み合った。 冷静になった両者が、二十歳すぎたよな・・・俺達。と虚しく呟くのは、さらに数分を要したとか要さなかったとか。