3.


地球でもまた、議会が開かれていた。
しかし、議会の首謀者は政府の議員ではなく・・・私利私欲のために影で戦争を起こす者達。
ロゴス。

「しかし・・・どうしたものか」
「まったく、どういうことだね、これは」
「このままでは・・・我々地球軍は悪者”オーブ”の仲間とみなされるぞ」
「さて、どうするか・・・」
「どうやら君の筋違いのようだな・・・ジブリール」

「いや、みなさん。このまま私にまかせて下さい。心配など・・」

「ふん。信用ならんが・・・」
「まあ、仕方あるまい」

今後の対応・・・”オーブへの対応”は詳しく決定されず、罪のなすり付けあいで紛糾した議会。 特に党首のジブリールに失点を押しつけて終わったのだ。
「ふん・・・老いぼれジジイ達め」
いつものことで慣れてはいたが、こうも自分だけに罪を押しつけられると頭にくる。ただ金を持っているだけ、頭は空の老いぼれ達め。 自分への危機が迫った時だけ群れを成し始める、さながら虫のようだ。まあ、金を持っているだけマシとも言えるか。
それに・・・。
確かに今回の事件は・・・オーブが勝手なことをし、戦力が少しは減ったが問題ない。
オーブに罪をなすり付けて、地球軍は利用されたと民衆に少しいじった情報を流せばいい。幸いまだ情報は露呈していない。 民衆が信じた時点でデマはデマでなくなる。 後にだまされたと知って嘆く頃には戦争が終わっている。
その頃は・・・もう戦争になど、興味はない。

「ジブリール様・・・」
「なんだ、ジン」

ジン。先の大戦ののち、ジブリールの秘書となった少年。 どことかの財閥の子息で、人形のように表情を崩さない少年。 しかし、秘書としての腕はたち、利用しがいがある男だ。 その少年が、議会が終わり私室で休むジブリールに話しかけた。

「・・・これでいいのですか。あんなに言われ放題で、」
「このままでいい。あんなジジイどもは群れないと何一つできない。 馬鹿な家畜どもだ。金はあるがな」
「しかしオーブは叩くとして、我が軍の戦力の低下は否めません」
「確かにな」

そう。確かにオーブの戦力は手放すのは惜しい。 が、わざわざ悪役と手を組むような馬鹿なことはしない。 かといって、無理矢理戦力を手に入れようとはしない。 そんな失敗を犯すのは前の党首だけでいい。

「そんなものに頼るほど・・・我が軍は何もないと思っているのか。ジン」
「・・・・他にも手がある、と」
「さあ。どうかな」
「・・・・・」
「せいぜい考えろ、ジン。その頭で。今日はもういいぞ」
「・・・・・はい」

そういって、ジンはジブリールの部屋を後にした。
部屋を出るとき、ジブリールはもうジンの方を見ていなかった。
当然、ジンのつぶやいた一言は、ジブリールには聞こえなかった。


「・・・・馬鹿な家畜はどっちだか」











そのころ、プラントの最高評議会議会では。
「・・・・グラディスの報告は以上だな」
『はっ』
「では、これで報告を終了・・・」

「ちょっと待ちたまえ」

タリアの報告が終わったところで、デュランダル議長が声を発した。
タリアは息を詰まらせる。 この人が何か言う時は・・・・覚悟した方がいい。

「艦長。あなたは先ほどの被害報告で、最後の一人の時に口をつぐんだね。何故だか理由を伺ってもいいだろうか」

ほら来た。他人の何気ない仕草も見逃さない。 こんなところは・・・・昔からちっとも変わってないんだから。

「本当か、グラディス」

・・・・わかってるんでしょ、あなたは。 フリーダムの介入で、彼がかつての仲間にどう対応するか。 その結果、彼がどうなるかも。 肉体的に傷を負わなくても・・・・・精神的に病むことぐらい、わかってるんでしょ。 なのに・・・わざわざ議員達の前で・・・。 何でなの?

『はい。確かに』

しかし、今ここで嘘をいっても仕方ない。

『パイロットが1名、重傷を負いました』
「そのパイロットとは・・・まさか・・・!!」
議員達は気づいたようだ。そう、

『特務・・・「議長!!!!」

タリアの報告は、突然議会室に入ってきた一人のザフト兵によってかき消された。ずいぶん慌てた様子だ。この慌て方は尋常ではない。
「どうした?議会中に勝手に入るな」
進行役の者が、そのザフト兵を止めた。が、
「しかし・・・!!ちょっと、議長に・・・」

「なんだね。私に用とは」
「実は・・・」

ザフト兵は議長の側により、小さく耳打ちする。すると議長の顔が一瞬、歪んだ。 ただごとではない、それはタリアにも理解できた。 この人の予想を超える何かが・・・・起こり始めているとでも言うのだろうか。
「・・・・・そうか。わかった。ありがとう」
「はっ」
そのザフト兵は敬礼して議会室を出ていった。 はあ、とデュランダルが息を一つつく。 そして、こう言った。

「皆さんにもお伝えせねばなりません。先ほど、オーブのユニウス条約違反と敵艦の利用、そしてミネルバの被害が我がプラントのマスコミに流されました」

それだけでは、ない。

「ラクス・クラインが只今からこの事実に対する意見表明を行うそうです」







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